日本臨床細胞学会雑誌
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原発性心のう膜悪性中皮腫の細胞診
岩 信造由谷 親夫増田 一吉呉 聡栄久城 英人児玉 順三宮下 士山口 武典平田 幸夫下村 克朗
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1981 年 20 巻 1 号 p. 123-128

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抄録

症例は64歳の女性で, 職業はビル清掃で, 10年前より高血圧を指摘されていた.
今回, 原因不明の心のう炎, 胸膜炎を伴い, 臨床的にはconstrictive pericarditisと診断された, その後, 脳血管障害により死亡し, 剖検を行った結果, 心のう膜原発性の悪性中皮腫を確認し, 腫瘍の捺印細胞診を実施した.
腫瘍は腺腔形成の腺癌様部分と紡錘形細胞からなる肉腫様組織の混合型である. 各細胞は大小不同, 核異型等が著しく, 核小体もみられ, 心外膜, 心筋への浸潤もみられた.
腫瘍細胞の特徴的所見として, 腺癌様細胞と線維肉腫様細胞が混在しており, 細胞間結合は密である. 細胞は20μから300μのものまでみられ, 細胞質は微細空胞状でBlister様の突出もみられる. 核膜は平滑で, 核縁の肥厚は軽度で, クロマチンは増量し, 顆粒状で均等分布を示し, 所々にクロマチンの凝集塊もみられる. 核小体も3μから5μのものまでみられ, 赤く明瞭に染色されている. さらに電顕所見でもグリコーゲン顆粒, 線維束, 細胞間橋, 細絨毛等が観察され, 原発性悪性中皮腫と診断し得た.

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