日本臨床細胞学会雑誌
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核DNA量による甲状腺腫穿刺細胞診断
阿部 庄作井上 勝一大崎 饒村尾 誠荒川 三紀雄遠藤 隆志赤間 正義田村 浩一井出 肇
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1981 年 20 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

甲状腺腫穿刺細胞診の診断率は他の臓器に比して必ずしも高率とは言い難く, 良性・悪性の鑑別の困難なことが多い. 悪性細胞の特性をより客観的な指標でとらえるために, 甲状腺腫穿刺吸引細胞の核内Feulgen DNA量を測定し, そのヒストグラムパターンより, 良性甲状腺腫と悪性甲状腺腫の差異について比較検討した. 良性甲状腺腫の穿刺吸収細胞の核内Feulgen DNA量のヒストグラムは2c域に主分布がみられるパターンで4c域を越える細胞の出現頻度は12%を示した良性濾胞腺腫の1例を除いて全例4%以下であった. 悪性甲状腺癌の穿刺吸引細胞の核内Feulgen DNA量のヒストグラムは3c域に主分布がみられ, 広範囲に分布するパターンを示した. 4c域を越える細胞の出現頻度も39~60%と多く, 良性疾患とはまったく異なるヒストグラムパターンを示した. 核内Feulgen DNA量の測定により, 細胞診で比較的判定困難な場合でも, ヒストグラムパターンを分析することにより良性・悪性の区別が可能であることが示された.

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