(目的) 子宮頸癌検診の際, 初診時細胞診において疑陽性を示した症例のうち, 特に診断の困難であった例について, 確定診断を得る目的でエストロゲンテストを行った。
(方法と結果) 1975年1月より1979年10月までの約5年間に当院外来において施行した細胞診総数77, 955例中, 疑陽性は760例であり, そのうちの40例について検討した.
estrogen (premarin錠1.25mg 1錠/日) を14日間連続投与し, 服用終了後3日目に再度細胞診を行った. 良性病変を疑った12例では陰性11例 (慢性頸管炎), 陽性1例 (浸潤癌) となり, 悪性病変を疑った28例では, 陰性10例 (慢性頸管炎), 疑陽性2例 (異型上皮), 陽性16例 (上皮内癌12例, 浸潤癌4例) となった.
(結語) 初診時細胞診で特に診断の困難であった40例において, エストロゲン投与後の細胞診により100%の確診率を得た. 投与期間がやや長期にわたることなど, さらに改良せねばならない点もあるが, 閉経後婦人に有用な診断法と考える.