日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部扁平上皮癌における放射線治療患者の予後推定に関する細胞学的考察
土田 正祐杉田 道夫五十嵐 優子杉下 匡天神 美夫久保田 浩一
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1981 年 20 巻 2 号 p. 221-225

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抄録

子宮頸癌の放射線感受性の有無に対する解明の足掛りとして, 照射早期における細胞診にて悪性細胞の分化度, 小型癌細胞, 細胞質内空胞, 封入細胞について検討を行った.
研究対象は当院において放射線治療のみを行った子宮頸部扁平上皮癌患者で, 5年成績の明らかな生存11例, 局所再発3例の計14例であり, 次の結果を得た.
1) 1, 500rad照射時の悪性細胞の分化度指数において, 照射前と比し右方移動を示した症例は14例中6例であったが, 予後および組織型における特徴は認められなかった.
2) 500rad照射時における小型癌細胞の反応においても, 予後および組織型における統一的傾向は認められなかった.
3) 細胞質内空胞のうち, 特にmultivacuolatetypeに注目したところ, 生存群に出現数が多く, 照射初期より出現するものは予後のよい傾向があった.
4) 封入細胞は生存群に出現が多く, 予後判定の一助になることがわかった.

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