日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部verrucous carcinomaの1例
その細胞診断学的検討
千綿 教夫中島 玉恵佐藤 伸子石田 禮載杉下 匡天神 美夫
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1981 年 20 巻 3 号 p. 583-588

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抄録

子宮頸部Verrucous carcinomaは, 扁平上皮癌の稀有な一亜型である. 疣贅状腫瘤形成著明な悪性進展, 頻回の再発傾向, しかも稀な局所転移と, 全くみられない遠隔転移, コルポ診上の明らかな浸潤癌像に対し, 細胞診陰性, しばしば過少診断される生検組織診上の良性判定など, 特異な臨床像をもっている.
50歳4妊2産婦の子宮頸部にみられた本症の1例を報告した. 細胞診には, 軽度の核異常細胞以上の悪性像は認められないが, 炎症, 悪性所見をみない比較的きれいな背景のなかの大きさ, 形状に全く統一性を欠いた無数の角化片, 真珠形成, 角化細胞, 中層型細胞の細胞質内空胞の存在, および頸部擦過細胞診と頸管内擦過細胞診とが全く同様な角化の強い所見であったことなどは, 留意すべき点であろうと思われた.

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