日本臨床細胞学会雑誌
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腹部腫瘍 (主として肝, 胆, 膵) の超音波誘導下穿刺吸引細胞診
武藤 邦彦高田 悦雄横田 勝正池口 祥一信田 重光佐藤 豊彦鈴木 容子山田 喬
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1981 年 20 巻 4 号 p. 657-669

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抄録

われわれの教室では, 昭和53年1月より, 腹部腫瘍に対し超音波誘導下に穿刺吸収細胞診を施行してきたが, 今回は, 肝, 膵, 胆嚢の腫瘍について検討した. すべての症例について穿刺前に他の形態学的検査を行い, ある程度の診断を下してから, 質的確定診断を目的として穿刺吸引細胞診を行っている. 症例は, 肝腫瘍10例, 膵腫瘍10例, 胆嚢腫瘍および腫瘤25例の計45例である. 細胞学的確定診断率は, それぞれ100%, 90%, 84%であった. 偽陰性例は, 膵腫瘍の1例にあったが, 1.5×2.0cmの腫瘤で, 的確に穿刺されなかったものと思われる. 胆嚢腫瘤の4例では, 細胞成分が採取されず判定不能となったが, 胆嚢内洗浄等による細胞採取が必要である.
それぞれの臓器の正常および悪性の穿刺吸引細胞像の特徴を述べ, 数例の症例を提示した. また, この方法に対して, 細胞採集方法, 穿刺針を誘導する超音波装置の現況, 検体の処理, 細胞判定, 臨床上の成績の判定, 合併症等につき, 現在までわれわれの教室で経験した結果と文献に述べられている事項とを対比しつつ考察を加えた.

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