日本臨床細胞学会雑誌
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化学療法の効果判定における腹水細胞診およびFlow Cytometryの応用
杉田 道夫室谷 哲弥杉下 匡天神 美夫岡田 久田中 耕平本間 滋
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1983 年 22 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

癌性腹膜炎を合併した卵巣および卵管癌につき, cisplatin, adriamycin, endoxan, 5-FU, による多剤併用療法を施行し, その治療前後の腹水細胞診およびFCMによる核DNAパターンの変化と臨床効果を比較検討し, 次の結論を得た.
1) 治療効果の弱い症例では, DNAパターン・腹水細胞診とも変化はなかった.
2) 腹水細胞診では, 治療効果として, 核の腫大, 細胞質内空胞, 多核化現象, 核破壊などの所見が認められた.
3) 核DNAパターンでは, 治療効果として, 4C以上の高倍体の増加, 4Cピークの低下が認められた.
4) 2C部分 (G0 or G1) は, 今回の化学療法ではほとんど感受性がないと考えられる.
5) 今後さらに化学療法の効果判定およびfollow-upの1法として, 腹水細胞診・FCMが応用されよう.

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