1983 年 22 巻 2 号 p. 182-191
小口径穿刺針 (22ゲージ) を用いた超音波映像下肝穿刺法による検体採取およびその処理に工夫を加え, 細胞診と組織診の併用が可能な方法を考案した.すなわち, あらかじめヘパリン処理した穿刺針および注射器を用い, 採取した検体の凝固を阻止することにより, 積極的に集細胞を行い, 良好な細胞学的標本の作製と検鏡に十分耐えうる良好な病理組織標本の作製ができるようになり, 採取検体の多角的な観察が可能となった.その結果, 肝癌の診断成績は一層向上し, 肝穿刺を施行した21例のうち9例の肝悪性腫瘍はいずれも正しく診断され, 偽陽性はなく, この方法は極めて信頼性の高い手技と考えられる.