日本臨床細胞学会雑誌
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頭蓋内原発germ cell tumor 4症例の細胞学的研究
藤井 雅彦大林 太加藤 一夫高橋 正宜山田 弘坂井 昇
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1983 年 22 巻 3 号 p. 615-621

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抄録

手術材料の塗抹細胞標本を用いて, 4例の頭蓋内germ cell tumorの細胞学的検索を行った.germinoma (症例1, 2) では, 核小体が明瞭でクロマチンに富み中心に位置する大型円形核と明るい胞体からなる大型細胞の集団を認めた.yolk sac tumor (症例3) では立方状ないし多角形の大型腫瘍細胞が孤立性ないし集合性にみられた.胞体は豊富で淡緑色に染まり, 核は類円形で核縁は肥厚し, 大型で明瞭な核小体が1-3個みられた.酵素抗体法によるα-fetoproteinの検索にて, 細胞内外に大小の陽性顆粒が認められた.teratoma (症例4) では間葉系由来の紡錘形細胞, 繊毛円柱上皮細胞, 扁平上皮細胞が主体をなしたが, 腫大した核とレース状の胞体を有する大型細胞も少数認められた.顕微螢光測光法による核DNA量の検索において, germinomaは2例ともtriploid patternのヒストグラムを, teratomaはdiploid pattemのヒストグラムを呈した.yolksac tumorではpolyploid, aneuploidの細胞の増加が顕著で, 極めて悪性な生物学的態度を示唆するpatternが認められた.

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