日本臨床細胞学会雑誌
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乳腺疾患における穿刺吸引細胞診
特に確診困難例を中心に
工藤 浩史平岡 裕木村 章彦鎌迫 陽飯塚 保夫
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1983 年 22 巻 4 号 p. 753-760

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抄録

最近5年間に167例の乳腺疾患に対して穿刺吸引細胞診を施行したので, その成績と確診困難例に対する細胞学的検討を行い, 報告した。これらの症例の内訳は悪性疾患40例, 臨床的, 細胞学的あるいは組織学的に良性とされた症例127例である.
悪性疾患に対する成績をみると初回検査で78%, 再検で88%の正診率を得た.組織型別成績では硬癌の正診率が79%とほかの組織型のものより低かった.腫瘍の大きさと正診率の問には相関関係はみられなかった.
良性疾患についてみると組織学的診断がなされたものは127例中8例であった.この8例中5例が細胞診では悪性あるいは悪性疑と診断されていた.
retrospectiveな検討によっても確診困難と思われた症例が良性疾患で2例, 悪性疾患で2例みられた.これらの細胞像を核径, 核小体数核小体の大きさなどについて比較したが, 穿刺吸引細胞像においては良性・悪性両疾患群の問に有為の差はみられなかった.しかし, 良性・悪性の鑑別点をあげると細胞の散在性と大小不同性の2点が指標になるとの所見を得た.

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