日本臨床細胞学会雑誌
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培養癌細胞への温熱化学療法の効果
マルチウェル・スクリーニング法と映画法による分析
小松原 利文信田 重光
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1983 年 22 巻 4 号 p. 780-791

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抄録

三種類のヒト培養癌細胞 (HeLa, 乳癌: HBC4, HBC5) に対する抗癌剤の影響が濃度や温度により, いかに変化するかをマルチウェル・スクリーニング法と映画法を用い, 定量的, 経時的に検討した.その目的は, 温熱化学療法の理論的基礎を確立し, 臨床への応用を企図するものである.
温度は, 25, 37, 43℃ に分け, 抗癌剤は, ADR, 5FU, MMC, NCSを使用した.
この実験によりつぎのような結果を得た.
(1) 培養癌細胞の種類により, 温度感受性に相違がみられた.
(2) 抗癌剤の種類により, 温熱化学療法剤としての効果に相違がみられ, 温熱との併用効果が最も優れていたのはADRであった.
ADRはRNA合成阻害を主体とするのに対し, 他剤はDNA合成阻害を主体とする.温熱療法はRNA合成阻害を主体とすると考えられている.すなわちADRと温熱療法は阻害点が一致するため, 温熱化学療法により, 両者が相乗的に働き, 細胞に著しい核酸合成阻害作用をもたらしたと推察した.
われわれが開発した方法は, 操作が簡単な上, この方法を用いれば, 悪性腫瘍の術後補助療法および手術不可能な患者に対し, より効果的な温熱化学療法剤の選択が可能である.

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