日本臨床細胞学会雑誌
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原発性卵管癌3例の細胞学的検討
小川 雅利鈴木 光明玉田 太朗
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1983 年 22 巻 4 号 p. 813-818

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抄録

われわれは, 自治医科大学病院開院以来8年間に4例の原発性卵管癌を経験した.このうち卵巣癌との重複癌の1例を除いた3症例について, その細胞所見をretrospectiveに検討した.その結果,
1) 細胞の短径/長径比は, 0.89, 0.94, 0.95, といずれも1に近い値を示し, また核のそれは, 0.81, 0.75, 0.95であった.
2) クラスタについては, いずれの症例も腺房状配列が最も多数を占め, 一方, 樹枝状配列は, ほとんど認められなかった.
3) 核小体は通常1個で小型のものが多く, 2.5μ 以上の大型核小体はまれであった.
4) 細胞診上psammoma bodyが多数認められた卵管癌症例を経験した.
以上の結果から, 卵管癌では円形もしくは丈の低い細胞が主体を占めることが示唆された.また.クラスタの出現様式などの点で, 若干の特徴が認められた.

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