1983 年 22 巻 4 号 p. 828-831
頸部上皮内腺癌は, 異形成や上皮内癌と高率に合併することが報告されているが, 異形成のほかに, 体部に高分化型腺癌を伴っている症例を経験したので報告する.
頸部擦過細胞診および頸部組織診により, 子宮頸部に上皮内腺癌と扁平上皮異形成が認められ, 同時に施行した子宮内膜診で, 子宮内膜に高分化型腺癌が認められた.
術後組織検査では, 頸部に上皮内腺癌と異形成が存在し, 体部後壁に高分化型乳嘴状腺癌が限局していた.頸部と体部の病変の問には, 組織学的には全く連続性がなく, 組織形態も違うことにより, 全く別個に存在している病変と考えられた.