日本臨床細胞学会雑誌
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尿中に種々な核内封入体細胞を認め, Polyoma virusの感染を疑った1例
阿倉 薫畠中 光恵泉 好宣名取 弘道神尾 守房田平 公子竹中 正治川井 一男
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1983 年 22 巻 4 号 p. 838-844

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抄録

急性腎不全で治療中の5歳女児の尿中に, 極めて多彩な核内封入体細胞を認め, Polyoma virus感染を疑った1例を経験した.核内封入体細胞の核は類円形で腫大し, 直径11~18μmであった.核膜に不規則なクロマチン集塊が付着していた.細胞質は小胞状で変性傾向が強く崩壊脱落状で奇妙な形態, または裸核状のものが多かった.核内封入体は濃青緑色から青緑色でスリガラス様あるいは, ガラスビーズ様にみえ極めて多彩であった.
核内封入体細胞をその特徴ある形態からI型, II型, III型, III'型に大別することができた.I型, 細胞質の保存性は比較的良好で大きな単一の核内封入体が核内全体を占め, スリガラス様不透明にみえる細胞.II型, ガラスビーズ様の卵円形から不整形の比較的小型の封入体を核内に多数もった細胞.III型, 単一の直径8~11μmの円形あるいは類円形の大型封入体をもち'その周囲の核との問にハローがみられる細胞.III'型, 弱拡大下ではIII型と同様に単一の大型封入体のようにみえるが, 強拡大下では小型の封入体が集合している細胞.
核内封入体が多彩な形態を示す点について光顕所見および電顕所見から, I型の核内にあるウイルス粒子が時間とともに結晶化して体積を減じ, 核内に空間ができて, II型あるいはIII型, III'になるものと考えた.

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