日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
穿刺細胞診により診断できた肝嚢胞腺癌の1例
岩崎 勇岩瀬 裕郷長坂 宏一石川 昌文久賀 克也佐藤 重明
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 23 巻 1 号 p. 40-44

詳細
抄録

肝嚢胞腺癌はまれな腫瘍で, 現在まで約30例が報告されているにすぎない.今回, われわれは肝左葉に原発した肝嚢胞腺癌を経験した.
症例は65歳の女性で食思不振, るいそうを主訴とし, 血管造影, エコー, CT, 穿刺細胞診により肝嚢胞腺癌と診断された.肝左葉切除のため開腹したが, 右葉に転移を認めたため切除不能であった.その後全身衰弱し, 死亡した.死後2時間で剖検し, 穿刺細胞診, 腹水細胞診, 捺印細胞診では乳頭状腺癌の像が得られた.これらの細胞につき, 種々の細胞化学的, 電顕的検索を行った.組織学的には高柱ないし立方上皮よりなる粘液性乳頭状腺癌で, 肝嚢胞腺癌と診断された.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top