日本臨床細胞学会雑誌
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前立腺腺癌の組織学的分化度と細胞診所見の対比
坂本 穆彦木原 和徳鷲塚 誠河合 恒雄平田 守男都竹 正文原島 三郎
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1984 年 23 巻 2 号 p. 132-137

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抄録

前立腺癌の治療は組織学的分化度によって選択が異なる傾向を示す例があるため, 分化度診断は重要である.本研究では組織学的分化度 (WHO分類) と細胞診所見とを比較検討した.
検索対象は前立腺穿刺吸引細胞診と針生検が同時に行われ, かつ双方の診断が腺癌であった16例で, 細胞診所見は細胞集合性の特徴によりクラスター形成の顕著な密集型, 孤立した細胞からなる散在型'両者の中間の混在型にわけた.細胞異型度は軽度.高度に2分した.
細胞集合性では密集型8例 (高・中・低分化癌各3・3・2例), 混在型7例 (低分化癌のみ), 散在型1例 (低分化癌) であり細胞異型は軽度8例 (高・中・低分化癌各3・2・3例), 高度8例 (中・低分化癌各1・7例) であった.
前立腺癌細胞診では細胞配列が混在型・散在型の場合は低分化癌であると推定される.密集型の場合は細胞異型度によっても分化度を類推できず, 今後の課題である.

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