日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸癌初期浸潤像に対する細胞学的診断基準の検討
宮崎 義彦長谷川 和男小林 理章早藤 雅也大津 文子武内 久仁生
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1984 年 23 巻 3 号 p. 384-390

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抄録

初期浸潤癌を上皮内癌および浸潤癌と鑑別するための細胞学的診断基準を設定し, その意義について検討を行った.初期浸潤癌については病理組織学的に腫瘍細胞の間質内侵入様式からM・PF・EB・NG・EC・ES型の6病像に分類した.
この基準によると, 上皮内癌および浸潤癌に対する診断率は高率であった.一方, 初期浸潤像ではM・PF型が上皮内癌と推定されることが多く, EC・ES型は浸潤癌と診断される比率が高かった.しかし, EB・NG型においては高率に初期浸潤癌として細胞学的に診断されていた.
初回狙い生検診と最終病像の一致率は上皮内癌, 浸潤癌において高く, 初期浸潤像ではこれらに比してやや低率であった.しかしながら, これら病像の生検診過小診断例に対してこの細胞診断基準を適用したところ, 上皮内癌, 浸潤癌はもとより初期浸潤像においても生検診による過小診断の補正を高率になしていることが認められた.
以上のことから, この細胞学的診断基準は, われわれの提唱する初期浸潤像のEB・NG型を推定診断するうえでかなり有効なものと考えられた.

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