日本臨床細胞学会雑誌
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胃および胆嚢領域に発生した悪性線維性組織球腫の1例
森田 恒之加藤 孝男古川 記志子伊藤 由美子
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1984 年 23 巻 3 号 p. 425-429

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抄録

60歳, 女性胃粘膜下腫瘍の診断のもとに摘出した胃病理組織所見は線維性組織球腫で, 手術時腫瘍は胃および胆嚢領域にみられた.術後5ヵ月, 肝床下に嚢胞を形成し再発した.超音波断層誘導のもとに, この部から穿刺吸引したPapanicolaou染色による細胞像は, 膠原線維様糸状物, 炎症性細胞とともに著明な核小体を有する多核巨大組織球様細胞など悪性所見を具備した細胞の出現がみられ, 悪性線維性組織球腫と診断した.腫瘍細胞は細胞形状とその核の大小および数から組織球様細胞4種と紡錘形細胞2種に分類した.いずれの腫瘍細胞も形態的に, 核と細胞質に組織球細胞との移行性が認められまた貧食能を認めた.
患者は術後7ヵ月目脳転移様症状にて死亡した.

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