われわれは, 子宮頸部に発生した小細胞癌の1例を経験した.
症例は, 31歳の主婦で, 子宮頸癌IIb期の臨床診断により, 広汎性子宮全摘術および所属リンパ節の廓清術が施行されたのち, 5,000radの60Coと化学療法をうけたが, 労大動脈リンパ節に転移し, 術後約1年半で死亡した.組織学的には, 腫瘍はリンパ芽球様の細胞または, 紡錘形の細胞よりなる未分化な癌で, 電顕的検索では, neurosecretory-like granuleが認められた.細胞診では, 腫瘍細胞は小型で, N/c比が高く裸核状で, きわめて疎な上皮性結合を示していた。また, 核は類円形または紡錘形で, 核膜の肥厚はみられなかった.
小細胞癌は, きわめて悪性な腫瘍で, 本腫瘍の早期診断の重要性が注目された.