日本臨床細胞学会雑誌
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超音波映像下穿刺法による肝細胞癌の細胞診
特に細胞配列およびPAS染色所見について
山本 玲子竜田 正晴野口 左内春日井 博志田中 幸子和田 昭田村 宏
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1984 年 23 巻 4 号 p. 554-562

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抄録

肝細胞の細胞学的特徴を把握するために, 肝細胞癌41例について, 超音波映像下にヘパリン処理した細径穿刺針・注射器を用いて肝臓を穿刺した.得られた同一材料より細胞および組織標本を作製し, 両者を比較観察しながら, 特に細胞配列ならびにPAS染色所見について検索し, つぎの知見を得た.
1.肝細胞癌では, 細胞配列に良性肝疾患例ではみられない “腺様の配列”,“樹枝状の配列”,“ウロコ状の配列”,“充実性の配列” および “不規則な配列” の5つのパターンが認められた.
2.PAS染色所見では, 良性肝細胞には認められなかった “陽性型”,“陰性型” および “混合型” の3つの特徴的なパターンが認められた.
これらの所見と, 個々の細胞における核・細胞質所見とを総合的に勘案することにより, 肝細胞癌の細胞学的診断は向上するものと思われた.

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