日本臨床細胞学会雑誌
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Cytologic evaluation of endometrial stromal sarcoma using imprint smears
A case report
Masanao OKADAKazuo MIYAMOTOYasuko SAKAMOTOMitsuya HONDA
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1984 年 23 巻 4 号 p. 608-614

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抄録

59歳の女性. 性器出血のために, 内膜生検をして低分化腺癌と診断された. 摘出子宮は小児頭大で, 2個の筋腫と長径8cmの腫瘍があり, 中心壊死に陥り, 子宮内腔に破綻しているが, 漿膜を侵していない. 腫瘍は組織学的に, 大形多角形均一な細胞からなり, 類円形の核を持つ. 腫瘍細胞は髄様にあるいは敷石状に, また索状に配列する、強拡大10視野中に約25個の核分裂像がみられ, 悪性度は高い. 捺印パパニコロウ染色標本の細胞学的所見. 腫瘍細胞は孤立性に存在するものが多く, 細胞形は円形ないし楕円形で, N/C比は高く胞体は乏しい. 細胞質は淡青色に染色され, 胞体縁は不明瞭で, 胞体がしばしば透明である. 胞体がやや豊富で好塩基性に強く染色され, 核が偏在する細胞が少数みられる.核の面積は251μ2で, 対照の間質細胞 (3例の分泌期末期内膜) の核138~178μ2に比べて有意に大きい. 核形は円形から楕円形で, 核縁は平滑で明瞭である. 紡錘形, 桿状, 彎曲あるいは2分葉化した核が少数ある. 核クロマチンは軽度増量し, 細穎粒状ないし粗穎粒状である. 核小体は顕著ではないが, 1個から3個ある. 電子顕微鏡的に細胞間接着装置が少数みられ, また胞体内に細線維があり, まれにはそれらが細線維性の球状体として観察される.

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© The Japanese Society of Clinical Cytology
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