日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部扁平上皮癌放射線治療後に発生したmalignant fibrous histiocytomaの1例
野田 恒夫冨井 由文斎藤 滋一條 元彦伊藤 寛子安達 博成川井 一男
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1984 年 23 巻 4 号 p. 658-666

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抄録
1948年Cahanが放射線照射後一定の潜伏期をおき, その照射野に一致して発生した腫瘍で組織学的に肉腫であるものをPostirradiation sarcomaと定義したが, 今回われわれは68歳の症例で子宮頸部角化型扁平上皮癌にて外照射60Co 5,000 Rad, Radium 5,090mghにて治療後8年目に, 照射野磐部に生じたそれらの肉腫でも, まれなmalignant fibrous histiocytornaの1例を若干の文献的考察を加え報告する.
腫瘍の穿刺・捺印細胞診とも線維形の細胞質で, 小型の短楕円形の核をもつ線維芽細胞様細胞と, 類円形~不正形の細胞質と核を示す組織球様細胞, さらに両者の移行型細胞・大型多核巨細胞が存在した. 組織像は線維芽様細胞が密な束状配列でいわゆるstoriform patternを示し, そのなかに多形性の組織球性細胞と大型多核巨細胞が存在していた. 電顕的にもelectron-dense materialを認めるrough ER, lysosome, 空胞, 脂肪滴などを有する上記の細胞を確認した.
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