日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
反射電子法による培養細胞の内部構造の観察の試み
野沢 志朗ウィジャヤ ツォクロ新井 宏治塚崎 克己宇田川 康博飯野 孝一栗原 操寿
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 24 巻 2 号 p. 132-136

詳細
抄録
電子線が試料に入射した時, 細胞内より発生する反射電子を利用して培養細胞内部の所見を, 超薄切片を作成することなく観察し得たのでその方法論および結果について報告する.
(1) 培養基質としては耐熱耐薬性プラスチック製カバースリップとカーボン蒸着ガラスカバースリップを比較したが, 前者では光顕観察が可能であり, 取り扱いもより容易であった.
(2) 固定法としてはエタノール単独固定, エタノールおよびオスミウム蒸気二重固定, グルタールアルデヒドとオスミウムの二重固定の3通りの方法を試みたが, グルタールアルデヒドとオスミウムの二重固定法で最も良い像が得られた.
(3) 上記結果に基づいて観察すると, 超薄切片を作成することなく培養細胞内の核や核小体のほかに, ミトコンドリアやライソゾームやミクロフィラメントのような細胞内小器官の全体像の観察が可能であった.
著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top