24 巻 (1985) 2 号 p. 144-149
1976年より1983年の8年間における膀胱腫瘍212例について尿細胞診と病理組織像との比較検討を行った.尿細胞診の判定基準としては核異型の程度, 剥離細胞の出現様式および大型悪性細胞の有無などを考慮にいれ, パパニコラウの診断基準に修正を加え新しい分類を作製した.クラスIII, IV, Vにはそれぞれaとbの亜分類を設けた.
細胞診の分類が高くなるほど悪性度の高い腫瘍の比率が増加した (P<0.005).核異型が軽度ないし中等度で, 主として細胞集団で剥離した移行上皮細胞をみるときクラスIIIとしたが, IIIa (軽度の核異型) とIIIb (中等度の核異型) の間に組織学的背景に差はなく, いずれもgrade1と2の乳頭状腫瘍が多くを占めた.小型悪性細胞のみをみるときクラスIVとしたが, その散在性の剥離細胞 (IVb) は集団状の剥離細胞 (IVa) に比し有意にhigh gradeの癌 (grade3乳頭状癌, CIS, 浸潤癌) の比率が高かった (P<0.01).大型悪性細胞をみるときをクラスVとしたが, 大型悪性細胞が少数 (Va) と多数 (Vb) ではVbに有意に深部浸潤癌の頻度が高かった (P=0.05).このように新しい細胞診の判定基準は膀胱腫瘍の病理組織学的背景の推測に有用であった.