日本臨床細胞学会雑誌
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川崎病患児の尿中に出現する封入体細胞について
大田 喜孝伊藤 園江広松 晃子丸山 正人小松 良治山本 正士入江 康司
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1985 年 24 巻 3 号 p. 419-425

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抄録

川崎病患児の尿中に細胞質内封入体細胞 (intracytoplasmic inclusion-bearing cell, ICIB細胞) が著明に増加することに着眼し, 細胞形態学的検索に加え臨床状態との関連について検討した.
川崎病43例中40例 (93.0%) に尿中ICIB細胞の出現を認めた.川崎病のICIB細胞のPapanicolaou染色による形態は類円形でライトグリーン淡染性の細胞質を有し, 細胞核は2個のものがより多かった.封入体はおおむねエオジン好性であるが一部ライトグリーンに染まるものもみられ, 電顕的には無構造のelectron dense bodiesとして観察され, 対照としたウイルス感染症や泌尿器系疾患にみるICIB細胞形態と本質的な違いはみられなかった.ICIB細胞数は経病日的に観察を開始した初目がいずれの症例においてもピークを示し, その後急速に減少して行き10病日ごろにはほとんどの症例で10個/ml以下の出現にとどまった.

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