日本臨床細胞学会雑誌
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I.U.D.装着者における異型細胞の細胞学的検討
国井 兵太郎国井 勝昭大橋 洋子草苅 裕子大宮 善直武田 雅身根本 啓治
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1985 年 24 巻 3 号 p. 463-471

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抄録

I. U. D.装着症例152例のタッチスミヤ, 子宮内膜吸引スミヤ, 子宮腟部擦過スミヤについて細胞学的検討を行い, 次のような結果が得られた. 1) タッチスミヤ, 吸引スミヤには石灰化小体, 多核組織球が60%前後に認められ, 高度異型細胞は16.5%, 40%に認められた. 2) 腟部擦過スミヤにも石灰化小体, 多核組織球がそれぞれ31.3%, 17.4%にみられ, 高度異型細胞も18.3%と比較的高率に認められることより, 膣部擦過スミヤのスクリーニングに際しては, I.U.D.による異型細胞も一応念頭に置く必要があると思われる. 3) これらの出現率はI.U.D.装着年数と必ずしも相関しなかった. 4) I.U.D.装着者のスミヤの特長として, 次のようなことがあげられる. a) 背景がきれいで, b) 石灰化小体, 多核組織球の出現が多い, c) I.U.D.装着者の異型細胞の特長としては, i) 細胞が比較的小型で出現数が少なく, ii) 重積性, 空胞をもつことが多く, iii) 核縁が不整で, クロマチン粗の割合が比較的高い. また, 鏡検に際しては上記特徴を考慮に入れさらにInformationに注意することが大切であると思われる.

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