日本臨床細胞学会雑誌
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異形成上皮の追跡研究
特に細胞像の推移と成り行きについて
長谷川 寿彦高橋 峰夫秋葉 隆三西野 るり子佐久間 達朗筒井 章夫栗原 操寿
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1985 年 24 巻 3 号 p. 500-506

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抄録

狙い組織診により診断された高度異形成上皮245例 (疑癌性異形成上皮を含む) を, 18ヵ月以上細胞診と腟拡大鏡診のみで追跡した. 平均年齢41.0歳, 平均追跡期間56ヵ月であった. 最終追跡結果は進行, 持続, 消失群それぞれ21.2%, 26.9%, 51.8%で, 再発群は20例8.2%であった. 進行群最終18ヵ月の細胞診推移は, 連続して異形成上皮由来細胞以上を認めるもの7.5%, 断続するもの2.5%であった. 18ヵ月以上細胞診有所見症例では45.9%が進行し, 38.8%が持続し, 消失は15.3%であった. 細胞診上高度異形成上皮以上を推定する細胞を18ヵ月以上連続して認められた症例では, 62.5%が進行し, 37.5%が持続し, 消失例は皆無であった. 持続症例中48.5%は細胞診所見が連続し, 51.5%は断続している. 消失例での細胞診陰性化は, 追跡開始1年で77.1%, 1年6ヵ月で87.5%に認められた. 再発症例の追跡結果は37.0%が進行し, 50.0%が持続し, 再消失したのは15.0%であった. 一度でも消失した群での再発率は13.9%であった. 以上の結果より, 高度異形成上皮の管理は, 18ヵ月間経過を観察し, 細胞診上異常が連続する例は治療し, 断続するものは厳重に追跡管理を行うべきと結論する.

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