日本臨床細胞学会雑誌
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子宮癌集団検診におけるkoilocytotic atypiaの出現率について
久保田 浩一河西 十九三石川 てる代岩崎 秀明武田 敏高見沢 裕吉石川 明小石川 裕子北田 満子鴻池 勝寛
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1985 年 24 巻 4 号 p. 643-647

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抄録

子宮癌集団検診を受診した14,445名中, 細胞診上, koilocytotic atypiaを示した症例は26例 (0.18%) であった. 集検細胞診ではclass IIb 16, class IIIa 10例であった. そのうち, 10例については細胞診, コルポ診, 組織診による精密検査を施行し, その一部は酵素抗体法 (peroxidaseantiperoxidase technique, PAP法) により, papilloma virusのcapsid antigenの検出を試みた.
年齢別頻度では30歳以下, 1.6%, 60歳以上, 0.46%と高く, 50歳代では0.073%と低かった. 精検時の細胞診再検でkoilocytotic atypiaが認められた症例は4例 (40%) と低く, 細胞診によるHPV感染の診断には不確実性があると考えられた. コルポ診では10例中5例に白斑を認め, そのコルポ診断はmild dysplasia2例, sq. metaplasia3例であった.
組織診ではsq. metaplasia8例, mild dysplasia1例, moderate dysplasia1例でそのうち, 組織学的にkoilocytosisを認めたのは10例中7例 (70%) であった. 組織でkoilocytosisが認められた7例中, PAP陽性を示したものは3例 (43%) であり, コルポ診下の狙い組織診およびPAP法はHPV感染の診断上, 重要な検査法と考えられた.

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