日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体部原発悪性顆粒細胞腫の細胞診
上原 俊彦野田 定金子 義晴
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1985 年 24 巻 4 号 p. 705-709

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抄録

悪性顆粒細胞腫は, 軟部組織に発生するまれな悪性腫瘍である. 腰痛と下腹痛を主訴とした, 53歳女性の子宮体部原発悪性顆粒細胞腫の1例を報告した. 症例は子宮腫瘍の診断で, 腹式単純子宮全摘術と両側付属器摘除術を行った. 摘出子宮の後壁には濃紅色から赤褐色をした, 半球状の腫瘍が多数みられ, 腫瘍割面は淡黄色を呈した. 病理組織学的所見では, 腫瘍は多形性の著明な細胞よりなり, 細胞質は比較的豊富でdiastase resistant PAS positiveの顆粒を有し, 核, 核小体は肥大し, 多核巨細胞やmitosisも多く, 腫瘍周辺の間質内脈管には浸潤増殖が強く, 予後不良が推測された. 捺印細胞診ではbackgroundはnecrosisによりやや汚く, 腫瘍細胞は孤立散在性, 細胞の形は不規則な多稜形を示し, 境界不明のものも多く, 細胞質には顆粒を有し, 核は大小不同が著明で偏在し, 核小体は肥大し, 多核巨細胞では核小体の際立って大きいものも認められた.この腫瘍とはclear cell carcinoma, uterine sarcomaとの鑑別を要すると思われた. 組織発生については種種の説があるが, なお不明である.

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