日本臨床細胞学会雑誌
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子宮中胚葉性混合腫瘍の細胞診
中口 竹紀小野 勲田代 昭男相馬 雅行石渡 千恵子石渡 勇向井 万起男
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1985 年 24 巻 4 号 p. 725-731

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抄録

子宮中胚葉性混合腫瘍 (mixed mesodermal tumor: MMT) は悪性度の高いまれな疾患である. 最近, われわれは末梢血液像および骨髄像で白血病, 癌, 肉腫 (特に横紋筋肉腫) などが疑われ, 病理解剖の結果, 横紋筋肉腫 (多形性型と胞巣状型とが混在) と腺癌からなる子宮MMTと診断された1症例を経験した.本症例では胞巣状型横紋筋肉腫像と腺癌像の鑑別が特に難しく, peroxidase-antiperoxidase (PAP法) によるanti-myoglobin染色を施し免疫酵素組織学的に鑑別した.尿, 胸腹水細胞診のPapanicolaou (Pap.) 染色標本ではN/C比が大, 核染色質が粗大凝集した小型異型細胞が散在し肉腫を示唆する所見と, 細胞質がやや豊富で核小体の著明な異型細胞が乳頭状集塊を形成し腺癌を示唆する所見とがみられた. この散在する小型異型細胞はPAP法によるmyoglobin染色に陽性であり横紋筋肉腫の混在が細胞診のうえでも推定された.また, 骨髄および末梢血捺印標本でも同様の小型円形細胞 (20μm) や多核有尾細胞が散在し, これらの細胞はPAP法によるmyoglobin染色に陽性であった.また, 多核円形細胞もみられたが, この細胞はmyoglobin染色陰性であった.

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