日本臨床細胞学会雑誌
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外陰paget病の1例
劉 雪美佐藤 章矢嶋 聰東岩井 久
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1986 年 25 巻 1 号 p. 163-166

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抄録

手術中の病変部割面の捺印細胞像と組織像を比較検討した外陰paget病の1症例を報告する.症例は56歳の閉経後女性, 術中の病変部割面の捺印標本から得られたpaget's細胞は大小不同性を示した.境界が鮮明で細胞質が豊富な円形ないし類円形の細胞がシート状に排列しているが重積性は認められなかった.細胞核は円形ないし類円形で, 核縁は薄く, 不正形を呈した.クロマチンパターンは細顆粒状ないし細網状を呈した.組織学的所見では, 捺印標本と同様な大型の明るい細胞質と円形ないし類円形の大きい核をもつ細胞, いわゆるpaget's細胞が扁平上皮下に多数認められた.paget's細胞はPAS, Alcian-blue染色で陽性を示すが, 間質の深部にはpaget's細胞が認められず, 腺腟構造もみられなかった.本症例のpaget's細胞は, アポクリン腺またはエクリン腺からの由来であるかどうかは不明である.

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