子宮頸部上皮内腺癌8症例の細胞像について検討し, 頸部浸潤腺癌例および正常例とともに核面積, 核形状係数を測定し, 次の結果を得た.
1.子宮頸部上皮内腺癌8例のうち扁平上皮の異形成を合併していたものが5例, 上皮内扁平上皮癌を合併していたものが1例あった.
2.8例中5例は扁平上皮系の異型細胞のためスクリーニングされており, 異型腺細胞を検出することは扁平上皮の異型細胞を検出することより困難であった.
3.上皮内腺癌群の核面積は72.4±27.6μm2で, 正常群と浸潤腺癌群の中間の値を示し, 各群の問に有意差を認めた.
4.上皮内腺癌群の核形状係数は0.72±0.09で, 正常群と浸潤腺癌群の中間の値を示し, 各群の間に有意差を認めた.
5.個々の症例について検討すると, 計測値のうえでは正常と差を認め得ない上皮内腺癌の例があった.このような例でも柵状配列もしくはロゼット状配列を示す細胞集団があり, その集団を構成する核が濃染し, かつ隣接する核同志の重なりが著明な場合には異型腺細胞としての認識が可能であった.