日本臨床細胞学会雑誌
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婦人科悪性腫瘍における穿刺細胞診の応用
佐藤 重美西平 守美冨浦 一行棟方 哲品川 信良三上 洋子
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1986 年 25 巻 3 号 p. 391-396

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抄録

昭和56年1月から昭和59年12月までの間に70症例 (子宮頸癌46例, 卵巣癌9例, 体癌5例, 外陰癌3例, その他7例) に対して行われた108回の穿刺細胞診の結果を紹介した.穿刺部位別にみると, リンパ節が42回, 骨盤・腹腔内腫瘤が20回, 腟・子宮頸部が21回, 子宮周囲結合織が17回, その他が8回であった.これらはほとんど, 放射線治療中または化学療法中の婦人科悪性腫瘍患者で, 腫瘍の残存, 転移や再発を疑われたものであった.
組織診に比してのfalse positiveは1例もなかったが, false negativeは3症例 (8.8%), 穿刺回数としてみるならば14回 (27.5%) みられた.false negative例では, 再度の穿刺により, 約半数がpositiveとなり, 正診率を向上することができた.
腫瘍の残存, 転移, 再発などが疑われる症例では, 一般に組織学的診断を行うことは非常に困難であるうえに危険も伴うが, 穿刺細胞診は簡便であるうえに安全でもあり, かっ正診率も高いので, 今後もっと広く行われてもよい方法かと考えられる.

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