日本臨床細胞学会雑誌
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単純性ヘルペス感染細胞の免疫細胞化学的研究
椎名 義雄飯島 淳子依田 さつき沢田 好明武田 敏
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1986 年 25 巻 4 号 p. 676-682

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抄録

細胞学的にherpessimplexvirus (HSV) 感染と診断された患者から得られた婦人科スミアに対し, 細胞学的・免疫細胞化学的観察を行った.観察した365個の細胞は形態学的にHSV感染と診断できる250個とHSV感染の疑われた115個の細胞に分けた.そして, Papanicolaou標本脱色後に抗HSV type II家兎血清を用い, 酵素抗体間接法で染色した.
免疫陽性反応はHSV感染と診断された細胞では250個中223 (89.2%) 個, HSV感染が疑われた細胞では115個中93 (80.9%) 個にみられた, よって, 細胞学的にHSV感染が疑われた症例のPapanicolaou脱色標本に酵素抗体法を応用することの意義を認めた.しかし, 細胞質が変性により好酸性を示した感染細胞では, 著しい免疫反応の低下がみられた.
細胞形態学的にHSV感染が疑われた細胞の核が好塩基性小顆粒を伴う空胞を含むことが重要であった.さらにPapanicolaou標本において重積性や濃染性核の存在もHSV感染の診断のために無視すべきでないと思われる.

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