日本臨床細胞学会雑誌
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異所性成分を含む子宮体部原発肉腫の3症例
川口 惠子石井 広重紀川 純三青木 智冨田 由里香大庭 ふみ子
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1986 年 25 巻 4 号 p. 800-807

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抄録

2例の中胚葉性混合腫瘍と1例の横紋筋肉腫を経験したので, その剥離細胞像を中心に報告する.
症例1: 68歳の中胚葉性混合腫瘍例.子宮体部より腟腔へ突出している腫瘤からの擦過スメアにて多数の非上皮性異型細胞がみられたが, これらの細胞にheterologous elementsに特徴的な所見はなかった.これらの細胞とは別に少数の腺癌細胞も認められた.組織学的には腺癌部分とchondroid類似の構造を有する肉腫部分からなる中胚葉性混合腫瘍であった.
症例2: 78歳の中胚葉性混合腫瘍例.子宮体部の腫瘤から術中捺印細胞診を行ったところ, 扁平上皮癌を思わせる異型細胞や, 腺癌細胞が多数みられ, 一部には非上皮性の異型細胞がみられたが, heterdogous elementsに特徴的な所見はなかった. 組織学的には扁平上皮化生を伴った腺癌部分と, 横紋筋肉腫よりなる中胚葉性混合腫瘍であった.
症例3: 77歳の横紋筋肉腫例.子宮体部より腟腔へ突出している腫瘤からの擦過スメアにて非上皮性異型細胞が多数みられ, その一部には横紋が認められた.組織学的にはpleomorphic typeの横紋筋肉腫であった.

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