日本臨床細胞学会雑誌
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卵巣原発のカルチノイドの2例
水無瀬 昂堀江 孝子佐藤 力
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1986 年 25 巻 6 号 p. 1109-1112

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抄録

カルチノイドで卵巣に原発するものは少ない. われわれは腹部腫瘤を主訴とした2例のカルチノイドを経験した.
1例はムチン粘液性腺腫と合併し, ほかは卵巣甲状腺腫との緊密な関係をもつstrumal carcinoidであった. 組織学的にはいずれも異型性の少ない細胞が線維性の結合織によって境され索状配列を示していた. 核は類円形から円形でクロマチン分布は均一であった. いずれもGrimelius染色で陽性の顆粒を細胞質内に証明できた. 電顕的には電子密度の高い100~200nmの神経内分泌顆粒が細胞質内に確認された。手術時に行った捺印細胞診ではシート状配列を示す異型性の乏しい細胞が観察された.

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