日本臨床細胞学会雑誌
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肺腺癌の組織分化度と喀痰中にみられる細胞形態との関連
荒川 三紀雄遠藤 隆志清水 幹雄佐野 松子野島 孝之井上 和秋阿部 庄作
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1987 年 26 巻 1 号 p. 110-115

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抄録

外科的に摘出された原発性肺腺癌26症例を病理組織学的に高, 中, 低分化型に分類し, それに対応する喀痰中の腺癌細胞形態像の特徴について検討した. 細胞の配列は高分化型で重積性は強く, 胞体内に空胞を有し, 中, 低分化型では重積, 平面, 散在などさまざまで, 胞体内空胞は認められないこともある. 核・細胞質比は高分化型より低分化型で大きかった. 核の大きさは高分化型で小さく, 中, 低分化型で大きい. 核の大小不同は高分化型で軽度, 中分化型で中等度, 低分化型では高度であった. 核形は高, 中, 低分化型ともに類円形, 立方形が多い. 核縁は高, 中, 低分化型ともに薄く均等が多いが, 中, 低分化型に厚く不均等が少数みられた. 核縁の切れ込みは低分化型より高分化型に出現頻度がやや多かった. 核クロマチンは高, 中, 低分化型ともに細顆粒状が多い. 中, 低分化型に粗顆粒状が少数混在していた. 核小体は高, 中, 低分化型ともに円形で高分化型より低分化型で大きく, 高, 中, 低分化型ともに1個が多い. 中, 低分化型で数個のものが少数みられた. 以上, 肺腺癌の分化度により, 喀痰中にみられる細胞形態像は異なり, 肺腺癌の分化度を推定しうることが示された.

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