日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部human papillomavirus感染症の細胞像と追跡調査
千綿 教夫杉下 匡石田 禮載佐藤 寛有松 直天神 美夫
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1987 年 26 巻 1 号 p. 7-14

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抄録

本報告は, 合併症の全くない子宮頸部human papillomavirus (HPV) 感染症における経過観察期間中の細胞診所見の変化と推移について検討したものである. 観察症例は5年の経過を観察し得た1例, 1.6~3.0年の経過を観察中の5例, 計6例である.
1) これまでに明らかにされている現時的な検鏡によって蓄積されている諸事実は, 長期間の経過を追う経時的な細胞診においても, そのまま適用された.koilocytesは必ずしも毎回出現せず経過のなかで出没を繰り返すものが多く, 5年経過例では6/14回に認められた. dyskeratocytesは比較的しばしば出現していた. 2核, 両染性細胞, 巨細胞, eosinophilic backgroundなどは症例によって一定しなかった.
2) この調査で注目されたことは, 合併症の全くない子宮頸部HPV感染症においては, 症例ごとにそれぞれ経過を通して観察される1~2の所見をもっていたことである. inmatureな細胞とともに出現する化生細胞が終始認められたもの4例, koilocytesが経過中出現して経過を特徴づけた1例, 2核および巨細胞のもの1例であった.
3) 5年の経過を観察し得たwarty atypia例では, 観察期間の初期には細胞診, 組織診に確定所見なく, コルポ診のみが本症の存在を明らかにした. しかし観察期間の後期にはコルポ診所見は消失し組織診は不明瞭となり, 細胞診のみが本症の継績を示していた.子宮頸部HPV感染症の経過観察には, コルポ診, 細胞診, 組織診の3者の協同的な判断が大切であろうと思われる.

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