日本臨床細胞学会雑誌
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膵液, 胆汁の細胞診
及川 正道鈴木 忠泰石岡 国春三浦 ヨウ子佐藤 泰佐藤 明梅津 佳英豊原 時秋榛沢 清昭
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1987 年 26 巻 1 号 p. 87-94

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抄録

最近10年間の, 膵・胆道系の癌232例に対する液状検体の細胞診成績を検討した. その結果, C-Sテスト十二指腸液細胞診の陽性率 (() 内は治癒切除可能例の陽性率, ただし胆嚢癌は治癒切除例なし) は, 膵癌24%(33%), 胆管癌15%(20%), 胆嚢癌0%, 乳頭部癌40%(43%), ERCP膵液・胆汁細胞診の陽性率は, 膵癌45%(80%), 胆管癌36%(25%), 胆嚢癌33%, 乳頭部癌100%(100%), PTCD胆汁細胞診の陽性率は, 膵癌36%(33%), 胆管癌55%(50%), 胆嚢癌45%, 乳頭部癌23%(11%), 転移・浸潤癌33%であり, それほど高率ではなかったが, 治癒切除可能例でも全体の陽性率とほぼ同程度の陽性率であった. したがって, 膵・胆道系の液状検体の細胞診は, 比較的早期の膵・胆道癌の診断にも有用と思われた. しかし, ERCP法やPTCD法でも陽性率は50%内外であり, 洗浄法やブラッシング法を積極的に用いて, 変性の少ない細胞を多く採取する努力が必要である.

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