日本臨床細胞学会雑誌
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小腫瘤乳癌に対する穿刺吸引細胞診の成績
広瀬 敏樹小海 陽子山村 はるみ土屋 みはる西 常博宮元 秀昭高梨 利一郎
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1987 年 26 巻 3 号 p. 386-392

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抄録

術前に穿刺吸引細胞診を施行した乳癌症例の成績をもとに, 小腫瘤乳癌に対するその意義および問題点を考察した.
腫瘤径別の正診率は, Tis: 20.0%(1/5), T0: 0%(0/2), T1: 76.9%(50/65), T2: 93.3%(135/149), T3: 100%(20/20), T4: 100%(15/15) であった.TisおよびT0症例の誤診はすべて癌細胞が吸引されていないためであり, いかに細胞を吸引するかが課題と思われた.T1症例では触診・超音波・X線軟線撮影よりも高い正診率を示した.T1症例を5mmごとにわけ, 誤診要因を検討したが, 径が小さいものに誤診が多いわけではなく, むしろ, 組織型別にわけた乳頭腺管癌と特殊型乳癌に多かった.これらは, 癌細胞がとれない要因が径によるものというよりは触診しやすいか否かによるということと, 特殊型乳癌に対する認識が不足していたためと考えられ, 穿刺技術の向上および判定側の経験の蓄積によって改善し, さらに成績が向上する可能性があると思われた.他検査で陰性で穿刺吸引細胞診のみが陽性だったのは, T165例中11例 (15.9%) で, このことは穿刺吸引細胞診断が小腫瘤乳癌の早期診断の可能性を大きくするものであることを示している.また, 乳癌の術前診断に穿刺吸引細胞診を導入してから以前に比べて外科的生検を減少させることができた.

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