日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
子宮癌細胞診自動化のための検体前処理法の検討 (補遺)
上井 良夫塩沢 勇治
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 26 巻 3 号 p. 393-397

詳細
抄録

腺癌細胞は扁平上皮癌細胞よりも分散しがたく, 子宮癌の細胞診自動化にあたり腺癌の存在を考慮すると, その分散法を検討する要がある。そこで, 先に報告したわれわれの方法4) を改変して, ヒト腺癌55症例の細胞分散法を検討した, 腺癌の組織亜型を乳頭状, 非乳頭状, 硬癌の3型に, 細胞分化度を高度, 中等度, 低分化に, 細胞分散度を優, 良, 可の3段階に分けると, 分散良好 (優) のものは乳頭状癌 (11例) では4例 (36%), 非乳頭状癌 (41例) では31例 (76%), 硬癌 (3例) では2例 (67%) となり, 高分化癌 (17例) では9例 (53%), 中等度分化癌 (22例) では14例 (64%), 低分化癌 (16例) では14例 (88%) となった.本法は検体を高速で撹拌し細胞を分散する方法であるが, 細胞質が保存されているものは46例 (84%) あった.
次に自動細胞診断の誤陽性の原因となる好中球を除去するために, streptolysin-Oを用いて腟スミアに好中球の多い29症例について検討したところ, 有効例は23例 (80%), 無効例は6例 (20%) となった.

著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
前の記事 次の記事
feedback
Top