1987 年 26 巻 3 号 p. 487-492
11歳男性の腹水中に出現した腫瘍細胞を用いて, 従来の形態学的検索に加えて, 表面抗原の検索と染色体分析を行った. その結果, 腫瘍細胞は, 細胞質に, 中性脂肪滴からなる小空胞を有するB-cell由来の細胞であり, かつ, 染色体異常として, Burkitt's lymphomaに特徴的である8q (24) を含む転座t (8: 14) が証明された. したがって, 腹水細胞を用いた検索のみでも, 生検に匹敵する情報が得られることが判明した. さらに, Denis Burkittの最初の報告以来の精力的なBurkitt'slymphomaの研究成果を文献的に検討することで, 本論文の考察の裏づけとした.