日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
卵巣漿液性嚢胞腺癌の細胞診と予後因子の検討
特に腹水細胞診について
藤本 郁野郭 宗正平井 康夫浜田 哲郎荷見 勝彦増淵 一正福田 耕一都竹 正文南 敦子池永 素子古田 則行佐野 裕作平田 守男
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26 巻 (1987) 4 号 p. 515-522

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抄録

1954~1986年までに癌研婦人科にて治療した漿液性嚢胞腺癌は118例であった.そのうち術前および術中に腹水細胞診を施行したものは88例であった.この88例につき, 細胞診所見と予後との関係を中心に検討し, 以下の結果を得た.
1. 腹水細胞診陽性群と陰性群の1~5年までの各年生存率はそれぞれ1年日75.7%, 100%, 2年目53.5%, 91.0%, 3年目43.8%, 76.9%, 4および5年目30.6%, 66.7%であり, 陽性群の予後は明らかに不良であった.
2. 背景細胞は食細胞, リンパ球, 好中球, 中皮細胞の割合について検討したが, I・II期の予後不良群では同期の2年以上生存した群に比べ食細胞, リンパ球の割合が減少し, 好中球は増加した.これに対し, III・IV期の予後不良群ではIII期の2年以上生存した群に比べ, 好中球は減少し, 食細胞とリンパ球の割合が増加した.
3. 癌細胞の出現形態のうち単離細胞の占める割合が多くなるほど, 予後は不良となった.
4. 癌細胞所見のうち, 予後不良群では核形不整, 3μ 以上の核小体出現が多く認められた.
5. PAS反応陽性群と陰性群の2年生存率はI・II期でそれぞれ25.0%, 88.9%, III・IV期でも12.5%, 60.0%と, 有意にPAS反応陽性群の方が予後不良であった (p<0.001).

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