日本臨床細胞学会雑誌
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ヒト子宮頸部におけるHuman papilloma virus感染の超微形態的研究
計良 恵治堀内 文男武田 敏高見沢 裕吉
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1987 年 26 巻 4 号 p. 551-558

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抄録

子宮頸部擦過スメアでkoilocytotic atypiaが観察された, condyloma 6例の生検組織を電子顕微鏡 (以下電顕と略) 的に観察した.
1. 電顕的に観察した6例すべての重層扁平上皮の中層~表層細胞にかけて, 核周囲に細胞小器官に乏しい明庭領域を伴う細胞が観察され, また明庭領域の形成過程を示唆させるさまざまな移行像が観察された.
2. 電顕的に明庭領域を伴う部分に, 細胞診でのenlargement, bi or multinucleation, hyperchromasia, diskeratotic changeにほぼ対応した形態変化が観察された.
3. HPV粒子は6例中1例の, 核異型や核肥大あるいはクロマチン増量のみられる表層細胞に観察され, またHPV粒子の量は細胞核によりさまざまであった.
4. HPV粒子の大部分は, 直径約40~50nmの類円形で, 核内に散在性~一部集合性を有し, 多くはヘテロクロマチン領域に接してみられ, またHPV粒子は核内の微細繊維や微細繊維よりなる網目様構造と密接に関連して観察された.
5. まれに幅約20nm, 長さ約100~150nmの棒状のHPV粒子が類円形粒子と混在し, 不規則~柵状配列を呈して観察された.

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