体腔液細胞診に免疫細胞化学的染色を取り入れることは, 診断上有用であると考える. そこで, 腫瘍細胞との鑑別の対象となる中皮細胞の免疫細胞化学的特色を明らかにするために, 酵素抗体間接法を応用し, Keratin, Vimentin, S-100蛋白, Desmin, EMA, CEA, CA 125, CA 19-9, AFPの9種について, 体腔液, 漿膜タッチスメアおよび胸腹膜組織切片を用いて検討した. その結果, 中皮細胞はKeratin, Vimentinに陽性を示し, また, 卵巣癌の腫瘍マーカーとして知られるCA 125にも高率に陽性を示した. その他, Desmin, EMA, S-100蛋自, 腫瘍マーカーであるCEA, CA 19-9, AFPについては, 中皮細胞は陰性であった.