手術が行われた肺扁平上皮癌患者 (p.stage Ia) のうち, 肺門部早期癌を除いた31例について中心型癌と末稍型癌にわけ, それらの予後と癌細胞形態像との関連性について検討した. 患者の5年生存率は中心型癌では58.3%, 末梢型癌では91.7%であり, 末稍型癌患者の予後は良好であった (p<0.05) 気管支擦過による非角化癌細胞の形態像では, 癌細胞の核径の平均値は中心型では10.2±1.7μm (mean±S.D.), 末稍型では14.4±1.2μmであり, 末梢型癌の方が中心型癌より大きい核を有していた症例が多かった (p<0.001). 中心型癌のうち, 平均核径11μm以下を有していた小型核細胞優勢症例6例中4例が18~27ヵ月で死亡した. 核小体については, 中心型癌の方が末稍型癌より大きな核小体がみられた (p<0.01)
これらの成績は肺扁平上皮癌の悪性度が, 腫瘍内細胞の核や核小体の大きさにも関連性がある可能性を示唆している.