1982年より1985年までに行われた後腹膜リンパ節穿刺吸引細胞診149例, 808回 (膀胱癌72例, 393回. 睾丸腫瘍24例, 120回. 前立腺癌22例, 147回. 腎腫瘍16例, 76回. 尿管腫瘍5例, 21回. 陰茎腫瘍5例, 28回. その他5例, 23回) の結果を検討した. このうち, 開腹手術により組織診を施行したのは45例で, 組織診と細胞診の不一致例は13例あった. 細胞診陽性, 組織診陰性となった原因としては, 細胞診誤陽性, リンパ節の微小浸潤, 手術時細胞診陽性部位のリンパ節摘出が不可能であった, などが考えられた. 一方, 細胞診陰性, 組織診陽性の原因としては, 穿刺の手技不良が最も考えられた. 全標本中リンパ節に正しく刺入されたと考えられる標本は30~50%であった.
本法は現段階でも膀胱癌, 前立腺癌などの術式や治療法の選択に重要な指針となるばかりでなく, 治療効果の判定や再発例の診断に有用であると考えられる.