日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸癌細胞の世代時間とG0細胞の動態に関する研究
杉下 匡
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1988 年 27 巻 1 号 p. 37-50

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抄録

この研究の目的は, 子宮頸部の正常腺細胞 (23例) と癌細胞 (23例) の核DNA分布率 (propidiumiodide染色法) を比較し, 次に扁平上皮癌細胞の世代時間を計測 (FLSm法) するとともに, さらに, これらの成績から癌細胞中のG0細胞の量的割合を算出することである.
正常細胞における平均DNA分布率は2C=89.6%, 3C=7%, 4C=3.4%であった. 癌細胞の分布率はそれぞれ77.7, 14.5, 8.5%であった. FLSm法による癌組胞の世代時間は, 平均12.6時間であり, S期時間は7-1時間であった. S期癌細胞数はG2M期細胞の約2倍量存在することと, 2Cの癌細胞の構成はG1期が約19%, G0期が約58.2%から成立っていることとが判明した.
これらの成績から癌細胞の方が, 正常細胞より約2倍分裂が旺盛であることと, 癌細胞のDNA ploidyは2C域が主たる存在域であることが推論され, 同時に多くの癌治療法の標的外であるG0塵細胞が全体の5割以上占めている事実を知り得た.

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