日本臨床細胞学会雑誌
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腺腫内癌転移の1例
両側の甲状腺腺腫内に転移した乳癌
堀部 良宗笠原 正男是松 元子小林 一彦山本 修美川村 貞夫樋口 公明
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1988 年 27 巻 1 号 p. 92-98

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抄録

両側の甲状腺腺腫内に転移した乳癌の1例を経験したので, 捺印細胞所見を中心に本腫瘍の組織学的特徴ならびに文献的考察を加え報告した. 症例は53歳, 女性. 4年前に右乳癌の手術を受けた. 術後経過観察中に前頸部腫瘤を発見され, 甲状腺腺腫の診断で左右2個の核出術が施行された. 術中捺印細胞診では左右ともに腫瘍細胞の大部分は, 正常濾胞細胞より軽度腫大する小濾胞集団からなる濾胞腺腫であったが, これら細胞に混在して大型の異型細胞がみられた. 異型細胞の大部分は結合性の強い細胞集団で出現する腺癌細胞で, パパニコロウ標本脱色後, Alb-PAS染色にてintracyto Plasmiclumina (I. C. L.) を認めた. 組織学的には両側ともに濾胞腺腫で, 腺腫内の中心部濾胞間および被膜下に管状構造を示す癌胞巣がみられ, 被膜および脈管内浸潤を伴っていた. alb-PAS染色および電顕的にI. C. L. が確認され, これら癌胞巣は乳癌 (硬性癌) の転移と考えられた.

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