日本臨床細胞学会雑誌
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尿細胞診で多数の菌要素が認められた播種性ヒストプラスマ症の1剖検例
渡辺 正秀加藤 由美子
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1988 年 27 巻 1 号 p. 99-104

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抄録

日常の細胞診で遭遇する真菌の多くは, 細胞外に存在するものであり, 組織球内に存在する酵母様真菌としては, Camdiaa glabrataがときに経験されるにすぎない. 今回われわれは, 剖検で播種性ヒストプラスマ症と診断された症例を経験したが, 生前の尿細胞診標本を再検討したところ, 組織球の細胞質内に多数の本菌要素が認められたので報告した.
症例は52歳の日本人男性で, 海外渡航歴はなく, 米国人の死体腎移植を受けて4年後に肺炎を起こして死亡した. 剖検では, 移植腎, 前立腺, 両肺, リンパ節などに, 著しい組織球浸潤を伴う壊死性炎症病巣が認められた. これらの組織球の細胞質内には径2~5μm (平均3μm) の酵母様真菌要素が多数認められ, H. capsulatmmと同定された.
剖検診断確定後に生前の尿細胞診標本を再検討したところ, Papanicolaou染色ではやや不明瞭であったが, PAS, Grocott染色では組織標本でみられたと同様の真菌要素が, 組織球の細胞質内に多数存在していた.
本邦での細胞診においてこのような真菌が出現することはきわめてまれであるが, Camdiaa glabm如などいくつかの真菌あるいは原虫との鑑別についても考察した.

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